しかし、天気が芳しくない。予報では昼ごろから雨である。
議論の結果、天気図から考えて、降ったとしても荒れる天気にはならないだろう。最終的には稜線に上がってから判断するとしてとりあえず行ってみようということになった。

出発は6:00。ガスに包まれ、視界は20mほどしかない。
荷物を置いてきているので、足取りは軽い。しばらく尾根沿いに登り、途中から右の沢に下らないようにトラバースして入り、北ノ俣のピークの西をトラバースするルートを選択。出発から1時間半で、北ノ俣の山頂の南側の稜線に飛び出した。なかなかいいペースだ。
この稜線、ただっ広くて方向を失いやすい。ガスの中、「こっちかな」と思う方にちょっと歩いてコンパスを見たら、すでにあさっての方向を向いている(^^;
結局この状態での行動は危険と判断、薬師沢や、赤木沢方面を滑って遊ぶことにした。
視界はあいかわらずほとんどない。斜面もこのあたりは何の特徴もないので、コンパスのベアリングを回して慎重に方向を定めて滑り込む。この斜面、斜度もなかなかあり、ナイスザラメでとても気持ちがいい。あとは視界があれば…

と、しばらく下っていると地形は沢状になり、不意にガスが晴れてきた。ちょうど眼前に、赤木平と薬師沢左俣の源頭が広がっているところであった。こんなところにテントを張り、のんびり滞在するのも楽しいだろうなあ。
薬師沢の源頭部を渡り、赤木平に続く鞍部をトラバース。この先の赤木沢への斜面もとてもよい斜面だ。
バックカントリースキーの魅力の一つとして、山の中を決められた「線」で遊ぶのではなく、一つの「面」で捉えて自由に行動できることがあげられる。この場所は、まさにその醍醐味を味わえる場所だ。周囲にはただひたすら雪の斜面が広がり、地図さえ読めればほぼ自由自在に自分だけのラインを刻むことができる。
赤木沢源頭へのダウンヒル。
標高2300m付近で滑りは終了。再びシールを付けて登り返しである。
上っている途中で、ふたたびガスで視界は閉ざされた。わずかな時間であったが、一番見たかった風景を見せてくれた幸運に感謝である。
北ノ俣岳東面の登りは最後が地図から受ける印象よりもはるかに急でちょっと緊張したが、9:40に無事山頂到着。今回は、ピークは巻いてばかりだったので、せっかくなのでピークも踏んで行った。
ここからの北ノ俣岳西面が、雪質、斜度ともに最高の素晴らしい大斜面である。視界がないのが本当に惜しいところだ。
最後にまた少しガスがましになったので、ビデオ撮影。
10:30に避難小屋に帰着。なんとかここまでは雨に降られずに来れた。
避難小屋で昼食を終え、外に出ると、ちょうど雨が降りだしたところであった。最後は修行だと思って雨の中黙々とシール歩行。
と、寺地山を越えたところで、前を歩く見覚えのある人影が。あれ?同じく朝6:00に出発してそのまま下山開始した、同じ小屋に泊まっていた単独行の人では?
声をかけてみるとやはりそう。なんでも、誰かの足跡について行って全然違う方向に下ってしまったとか。僕らが30分の道のりを、6時間以上かけていることになる。
道案内をして行ってあげたいところだが、さすがに日が暮れそうなので先に行かせてもらう。が、やっぱり気になってちょっと先で待って確認してみると…何と地図を持っていない。
ここまでずっとトレースだけ追って来たってこと?
あまりに危険なので、僕らの持っていた地図を一枚あげて、「一番濃いトレースを確実に追う」ように行って先に行くことにした。これぞまさに遭難予備軍、というのを見たように思った。無事に帰れただろうか。
復路は2時間半で、トンネルまで戻ることができた。
今回の、避難小屋〜赤木沢源頭往復部分はこんなルート(クリックで拡大)。


僕の山スキーシーズン最後を締めくくるのにふさわしい最高の斜面と思い出に残る天気?となりました。
この辺りの山域はじっくり腰を据えて何日かかけて攻略した方がよさそうですね。
地図を見てもワクワクするような斜面がたくさんあって、ついつい欲張りな行程になりがちです。
今年は山スキー後半の「ツアー」が思いのほか充実していたため、満足のいくシーズンとなりました。
パウダーもいいけど、ザラメの上でのスキーの行動力とそこを滑るツアーがこんなに楽しいものかと、認識させられました。
来シーズンも宜しくお願いしますね。
こちらこそ、来年もよろしくお願いします。
今年はたるんでいましたが、来年こそは足を引っ張らないように復活したいです…