2005年11月06日

鈴鹿・滝洞谷

滝洞谷は鈴鹿山脈・茶野(938m)付近に源を発し、大君ヶ畑で犬上川に合流する谷。つるつるに磨かれた石灰岩が不思議な造形の滝をいくつも作り出し、そのどれもがなかなか手ごわい。関西でも最難クラスの険谷であるのは間違いないだろう。

ところで、この谷は不思議なことが起こる場所だ。
滝洞といえば「滝には水がなく、釜は悪臭を放つ水をたたえ、動物の死体がいたるところに転がる陰惨な谷。」と聞いていた。
が、昨年訪れたとき、釜には澄んだ水がたたえられ、石灰岩の造形と合わせて、すっかり美しい谷に変身していた。
2週間後にまた来たところ、なんと谷の入り口の今にも水の涸れそうな小さな水溜りでアマゴが8匹もぴちぴちとはねており、手づかみで全部いただいた。そして、谷の中は…しばらくたいした雨もなかったのに、水がざばざば流れていた。
ほかにも、サルの群れに投石されたとかいう話も聞いた。
昨年訪れてすっかり気に入ったこの谷に、今年も6人の仲間で訪れることができた。さて、今年はどんな姿を見せてくれるか?今回は6人、ということでかなり時間がかかることが予想される。6時30分には入り口の墓地横の駐車スペースを出発した。天気は今にも雨が降りそうであるが、何とか昼くらいまで持ってくれればいいのだが。

堰堤を越えて、広い川原歩きから、急激に谷は狭まり、ゴルジュは突然に始まる。
出だしの3mのCSもなかなか手ごわい。以前はフリーで越えたところだが、今回は濡れた外傾ホールドに思い切って乗り込めず、さっそくあぶみの世話になってしまった。

3人登ったところで、2人で先のルート工作ために先行。
谷の様子は、昨年とそう変わらないようだ。釜の水はきれいで、美しい谷のままでいてくれた。

doukutu.jpg
まもなく、第一の核心、洞窟ゴルジュ。左岸を斜めに走るクラック沿いに登る。プロテクションが容易に取れるので、難しくはない。途中ひとつあった残置ハーケンにまだ真新しいヌンチャクがかかっていた。なぜ?

洞窟ゴルジュのすぐ上は、これまた手ごわそうな3mのCS。ここは、斜めになった足場に一段上がり、両手ガバにぶら下がってから、右足ヒールフックで越える。なかなか楽しいボルダームーブだ。上の大岩にビレイをとり、シュリンゲを垂らして後続の手がかりとした。

しかし、このあたりで早くも雨が振り出す。まだ先は長いんだけどな…
この先は、ロープこそいらないが、2〜3mくらいの小滝が続く。どれも水はなく、岩は磨かれてすっきりしており、快適に登れる。このあたり、ちょっとした滝上にも残置の支点が残っていることが多かった。前進用ではない。最近撤退したパーティーがあったのかな?
雨は時々弱まりつつも、全体として次第に本降りの様相を呈してきた。覆いかぶさる岩とあわせて、谷中は非常に暗い。もっとも、その岩のおかげでそれほど雨に当たらずにすむのでもあるが。

やがて周囲はさらに険しくそそり立ち、暗くなっていく。第2の核心。井戸底ゴルジュの始まりだ。

ido1.jpg
1段目、8mを見上げる。井戸底とはよく言ったもの。
ここも、リードで行かせてもらう。トユ状の下部はホールド豊富で、ステミングしながら上がれば容易だが、上部は微妙になる
ここであえなくあぶみのお世話に。
以前初めて登ったときはフリーで越えたところだ。ナチュプロ技術は上がっているけど、登る能力そのものは落ちているなあ。雨のせいにしとこ(^^;
残置はなかったが、ナッツ、カムのみでプロテクションは十分取ることができた。

一段上がった上は小さな広場になっており、同行のBAKUさん、キンゴさんは、昔ここの左岸から撤退したことがあるそうだが、とんでもないところから撤退してるなあ。こっちのほうが怖いんじゃ?
さて、その広場の上の7m滝が本当の核心。ここはしょっぱなからフリーは放棄してエイドで行くことにした。
ido2.jpg
ここの滝のいやらしいのは、あまりしっかりとしたプロテクションを取れないこと。カムがはまるほどのクラックはほとんどなく、ハーケンの効きもいまいち。スモールナッツに頼ったクライミングになるのだ。
ルートとしては下部はカンテ沿いに上がり、そこから流芯に出て、流芯の途中の欠けたようなホールドに乗り込む。ここから先は、プロテクションも取れないので、右側上部にあるホールドを使って、シューズを磨かれた岩にしっかり押し付けてフリクションをかけて登った。残置はきれいに取り去られていた。
2番手以降は、ロープの一本をフィックスし、もう一本でビレイして登ってもらった。
どこまでを井戸底ゴルジュというか分からないが、その上はひざ上くらいの深さの釜を持った小滝、苔むした5mほどの滝、と続く。5m滝で再びロープを出した。この滝は、正面突破、右岸から斜上、右岸を巻き、といろいろルートは考えられるが、今回は斜上して落ち口に出るルートを取った。

このあたりから、少し渓相が明るくなる。
midori.jpg
白い石灰岩、緑のコケ、頭上には見事な紅葉が広がっていた。じっくり見てみれば、実に美しい谷ではないか。

meiro1.jpg
やがて、行く手は谷幅いっぱいの苔むした5mほどの滝にさえぎられる。その上はナメとなり、さらに奥に向けてトユ状に狭まりながら、視界の先に消えている。これが最後の核心、迷路ゴルジュだ。正直、この大雨の中登るのはかなりいや〜なところだ。
ここは長いので、トップがダブルロープを引っ張り、後続は各々1本ロープを引っ張りながら登る作戦を取る。
下部の5mは容易。その上のナメも楽々だ。

meiro2.jpg
が、トユ状3段に入ると、奥に行くにつれ、傾斜が立ってくる。特に最後の1段は嫌らしい。
最後の段はまず、バックアンドフットでずり上がり、右手のカチをとり流芯中ほどにあるガバのクラックにキャメ0.5をセットした。これでちょっと安心。
そのカチとガバに乗り込んで一段上がる。あとは、左側壁に足をかけ、わずかな盛り上がりを利用して右手で何とか足のフリクションを高め一気に登り切った。ふう、これで核心はすべてクリアだ。
そして、念願の全滝リードも達成できた。

しかしその上の釜を持った小滝を見てちょっとショック。
昨年は昔は、太もも程度の深さしかなかったのだが、たまった土砂がきれいに掃除され、明らかに背丈くらいの深さになっている!これは泳ぎたくはなかったので、巻くしかない。時間はそろそろ3時になろうとしており、明るいうちに下山は難しくなってしまった。

2番手で登ってきたキンゴさんが、時間短縮のため左岸を巻きルートの工作に入るが、ザレザレの斜面に落石を誘発!
結局全員上りきるまで、斜面の途中で待ってもらうことになってしまった。
meiro3.jpg
なっちゃんが、全身突っ張りでの突破を試みたが、やはり無理なようだった。全身ドボンを期待していたんだけどな(^^)

全員登ったところで、さらにキンゴさんがロープを伸ばしてフィックス。そこから、25mの懸垂一回で谷に戻った。始まりと同じように、ゴルジュは突然に終わった。谷はようやく平流となり、水も流れ出す。キノコ狩りなどをしつつも、先を急いだ。下山ルートは、620m付近の二股から尾根を登り、送電線巡視路を利用して938mピークを目指すものを採った。
938ピークからの下りだしてまもなくヘッ電行動に。北北西に延びる尾根沿いにくだり、鉄塔から北の枝尾根をコンパスを頼りに慎重に下る。560m付近のテラスで登山道を拾い、6時40分、無事に駐車場に戻ることができた。
滝洞の下山路では、再び滝洞に戻ってしまったとか、いろいろな話を聞く。暗闇と風雨の中ほとんどミスなく下山できたのは上出来だろう。しかし、本当に最後まで気を抜かせてくれない谷だよなあ。

※今回、自分ではほとんど写真を取れていないので、BAKUさん、なっちゃん撮影のものを使わせてもらいました。
posted by S.A at 18:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 沢登り/クライミング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あいかわさん、こんにちは。磯田です。

滝洞では大変お世話になりました。
今日の渓谷MLで先週行った人が「井戸底ゴルジュの取り付きで2回、涸滝三段25mの取り付きで1回落石があった。バウンドして落ちてくるので庇のある岩陰下でも石が飛んできた。」と報告してはります。ここは落石にも気を使わねばならない谷ですね。今度はリードして突破してみたい。


Posted by BAKU at 2005年11月14日 14:28
滝洞、楽しかったですね。
確かに落石は怖かった。あの谷では、周辺の落石が一点に集中しますからね。
また行く時はぜひ声かけてくださいね〜
Posted by S.A at 2005年11月15日 12:27
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