2005年10月08日

最近のカラビナを眺める

クライミングや沢に行く時に、いつもお世話になるカラビナ。
これらカラビナに求められる性能は、どんなものがあるだろう。
一般的なランニングビレイに使われるカラビナなら
1.十分な強度がある(あたりまえ)
2.クリップしやすい
3.アンクリップしにくい
4.上記の性能を満たした上で軽量である。
といったところが基本性能かな。

あんまり改良をするところがないように見えるカラビナだけど、着実に進化はしているようでここ数年出てきているものは上記の性能に加えて
5.キーロックノーズなどの採用で回収がしやすい
6.オープンゲートでも強い
といったことが求められてきているように思われる。
回収のしやすさのありがたさは普段それほど意識することはないかもしれないけど、かぶった壁やハングなんかで、テンションかけながら回収してみると痛感できる。
オープンゲートでの強さも重要になってきているのは、墜落時の衝撃により瞬間的にゲートが開く現象(ウィップラッシュ)が、完全に防ぐことは難しいことがわかってきたからじゃないだろうか。「生と死の分岐点」では、オープンゲートでも10kN(リードクライミングの最後のアンカーとなったときに、最大級の墜落に耐えられる強度)の強度を持つべきと提言しているしね。
以前のカラビナはオープンゲートではせいぜい7kNくらいの強度のものが多かったが最近登場するカラビナは9〜10kNの強度を持つものが多くなってきた。

カラビナの進化、という点で、今一番面白いのはワイヤーゲートのカラビナだと思っている。
DMMの最新のワイヤーゲートカラビナShieldを入手したので、同じく先端を行くと思われるWildCountryのヘリウム(発売後数年たってるけど)をあわせてインプレッションしてみる。

ところで、整備された岩場以外を登ることが多い僕は、ベントゲートのビナは使わず、ほとんどはロープクリップ側にもハンガー側にも使えるワイヤーゲートのビナでそろえている。
ワイヤーゲートのビナについて、誤解している人も多いと思うのでちょっと補足。
普通のゲートのカラビナと比べて、ゲートが細い分、弱そうと感じるかもしれない。
でも実はワイヤーゲートだろうが、ノーマルゲートだろうが、ゲートの部分はカラビナにとっては弱点でしかない。
基本的には、一番強い軸でしっかりと加重を受け止め、かつ荷重がかかってもその一番強い部分からロープが動かないものが強い。これは、オーバル形状のカラビナの強度がD型に比べてずっと小さいことや、「続・生と死の分岐点」157ページあたりの記述を読めば納得できるだろう。
ゲートの役割は、大きな荷重がかかって、本体が変形しそうなときにそれを軽く止めてあげるというものと僕は思っている。そのためには、ゲートそのものの強度はさほど必要ではない。
よく見ればわかるがどんなカラビナも、本体とゲートの間にはクリアランスがあって、本体が変形しない限りはゲートには荷重がかからないようになっているはずだ。
もうひとつ、ワイヤーゲートには上記のウィップラッシュが起こりにくい、というメリットもある。ウィップラッシュの起こりやすさは単純にゲートの質量とスプリングの強さで決まるためだ。ビナを手に持って、背中側を手のひらに打ち付けるようにして衝撃を加えて普通のカラビナ比べてみるとよくわかる。

zentai.jpg
話は戻って右がヘリウム、左がシールド。よく似たコンセプトで作られていることがわかる。まあ、シールドは昨年までのワイヤーロックというモデルが重量的に大きく負けていたので、明らかにヘリウムを意識してモデルチェンジしてきたものと思われるが。
ヘリウムは強度25kNオープンゲート10kNマイナーアキシス8kN、。でありながらgと超軽量。ゲートオープン間隔も27mmと広い。
なお、ヘリウムは昨年リコールがあったが、現在のものは対策済みである(対策済みのものは、主軸背面にTの刻印があるのでわかる)。
シールドは強度24kNオープンゲート10kNマイナーアキシス9kN。同じく35gと超軽量。ゲートオープン間隔は、よくわからないけどヘリウムよりほんのわずか狭いかな?
いずれも、
2本のワイヤーにロープが乗せやすいというのを利用して2を。
ストレートのゲートを使うことで3を
軽量なワイヤーゲートに加え、本体をリブ構造にすることで4を。
ゲートと本体の噛みあわせを工夫して、5を
本体の形状の工夫とと、ロープの通り道を明確にして加重時にもずれにくくしたことで6を
達成している、いま最も進んでいるカラビナと言ってよいだろう。

ただし、どっちも大量にそろえるにはちょっと厳しい値段ではある。

それぞれのハンドリングの印象では
クリップ性能では、ヘリウムが明らかに上。本体形状はシールドのほうが指がかかりやすいように曲げを入れているが、ゲートがひねられている分、そこでロープがずれやすい。本体のリブ構造は、軽量化だけでなく、滑りにくさにも貢献しているようだ。ただ、本体が磨り減ったときエッジが立ってこないかちょっと心配。
アンクリップしにくさでは、シールドが上。これは明らかにゲートを一ひねりしていることが効いていて、ゲートに乗りかけたロープがこの部分ではじかれるようになっている。ヘリウムは、本体とゲートの間の段差にややロープが乗りやすく、特に細いロープでは注意が必要。
といったところか。

nose.jpg
2つの一番の相違点はゲートと本体のかみ合わせ部分。
U型の溝にゲートははまり込むヘリウムと、ワイヤゲートの先に付いたボールが、ロックになるシールド。
これが、上記の特徴を分けるものとなっている。もちろん、いずれも普通のゲートのカラビナと比べてノーズの引っかかりがなく、扱いやすい。

理想としては、ヘリウムがもう少しかみ合わせ形状を工夫して、本体とゲートの段差を小さくしてくれれば、よりいいんだけどな〜


posted by S.A at 11:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 道具 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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