「ウォーターシューズ」といったジャンルのシューズも存在しているが、沢登りをやる人にはほとんど見向きもされていないようだ。
まあ、無理もない。水はけを良くしたアッパーなど、外観はそれっぽいものの、ソールがぬれた岩の上ではぜんぜんグリップしなかったり、沢をハードに歩くためにはいかにもしょぼい、見かけ倒しのものが多いからだ。
そんな中で、Five Tenのウォーターシューズは本物のウォーターシューズだと思う。
Five Tenはクライミングシューズでは非常に有名なメーカー。ウォーターシューズを作っていることはあまり知られていないようだが、ここの「アクアステルス」というウォータースポーツ専用のソールが、それがもう、ぬれた岩に対して吸い付くようにグリップするのである。
滑るときも、ビブラムなどの硬いゴムのようにつるんといくことはなく、一瞬粘ってくれる。

左が「ウォーターテニー」というシューズ。このシューズを沢登りのメインシューズにしている。
このシューズで、西の滝も、前鬼不動の滝も、滝洞谷も登った。大きな信頼を置いているシューズだ。ソールに「BEST FRICTION ON EARTH STEALTH RUBBER」とかなり大きく出たことが書いてあるが、あながち誇張ではないかも、と思う。
フェルトソールとの比較をすると(ただし、フェルトソールのシューズって数えるほどしか履いていないんだけどね…)

(本文にテーブル要素を入れたら、どうしても上に大きな空白ができるので画像にしてしまった)
という印象。
一般的にどちらを勧められるか、といわれればヌメッた岩に対する性能で、フェルトソールのシューズが無難かもしれない。
ウォーターテニーを履いていると、ぬるぬる岩に対する足運びではかなり気を使う。
でも、それを差し置いても濡れた岩に対する圧倒的な強さが、文句なしに楽しい。下山路でも楽だ。
フェルトソールをすでに持っている人に2足目のシューズとしてお勧めじゃないかな。
磨かれた岩の多い、大峰の沢なんかではアクアステルス、ヌメッた岩の沢が多い比良などに行くときはフェルトソール、みたいな使い分けもありだろう。
沢登りにはフェルトソールで決まり、って言う印象をきっと覆してくれるはず。
右は「マーベリック」というシューズ。ウォーターテニーと比べて、ソールは薄くやわらかい。
アッパー全体が厚手のネオプレーンでできていて、足首まで深さがあるので、異物が進入しにくい。
このシューズは、もっぱらカヤック用だ。あまり長距離を歩くことはないが、カヤックを担いでちょっとした濡れた岩場を越えるようなことはよくある。そんな時、このグリップ力は頼もしい。
このモデルは現在廃盤モデルで、現行のものでは「スプラッシュ」というものが近いかな?
欠点を挙げるなら耐久性か。
このソールは減りやすい。沢登にフルで使えば、1シーズン持たないかもしれない。(フェルトソールも減りやすいけど)
さらに、ウォーターテニーのほうは以前使っていたものは大して使っていないうちにソールがペロリとはがれて、現在のは2代目になる。
現在では、キャラバンからもこのアクアステルスソールを使った沢靴が出ているようだ。
追記:
ウォーターテニーのソールは、正確には「アクアステルス」ではなく、「ステルスS1」であった。
ただし、僕はどちらも使っているわけだけど、ステルスS1のほうも濡れた岩に吸いつくようにグリップするのは一緒で、水に対して優れているのは変わらない。
丸いポコポコは一見ちゃちだけど、見た目より滑りにくいです。
ウォーターテニーは、軽登山靴程度のミッドソールがあるから、オールラウンドだね。
でも、一度でもあの無敵モードを味わっちゃうと止められないんだよなぁ、アクアステルスは。麻薬みたいなもんだw
まったく同感。
オールラウンドにそこそこ優れているものより、特定の条件で無敵状態になるほうが、道具として面白いですよね〜
キャニオニア、というシューズが現行のようですが、日本では手に入らないかも