2007年09月16日

甲川遡行2日目・上の廊下

朝、起きてみるとなぜか頭がガンガンする。
昨日から、微妙に体調が悪かったのだが、どうやら本格的に風邪をひいたらしい。先週ずうっと子供が熱を出していたから、それがうつったのかも。

食事をしながら、そのことをメンバーに伝える。ただ、本日は(難易度は高いが)行程自体は短く、今のテン場からのエスケープも容易にできることから、とりあえず行ってみようということになった。今回のメンバーなら何も自分がトップで抜けなくちゃと思う必要もないのだし。
それに、ゴルジュに突入すれば、きっとアドレナリンという自家生成の鎮痛剤が効いてくれるに違いない!?
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テン場のある二股から、右の本流をたどる。上の廊下の入り口まではものの数分であった。ゴルジュの中を覗き込んで、思わずおお、と声を上げる。目の前には深い淵があり、右に曲がった先で淵は行き詰まり、壁に囲まれた空間を4mの滝が落ちている。ちょうど、僕らのすぐ上に野営していた別パーティが、取り付いているところであった。

先行パーティが登り終えるのを待って、僕らもトライする。ルートは、滝の強烈な流れを横切って滝壺の右側に回り込み、そこから這い上がってあぶみで登るしかない。
ハマチャントップでトライ。まずは、足ひれなしで泳ぐが、流れに負けて押し戻されてくる。足ひれをつけて再度挑んで、今度は無事に滝壺の右に回り込むことができた。
初登時は大変であったろうが、今は残地が豊富だ。残置スリングをつかんで、水から這い上がり、2ポイントの人工で上に抜けることができた。この滝はかなり面白かった。


20070916F2.jpg
その上も全く同様の深い釜+4m滝。逃げ場はない。再びハマチャンがトップで行く。今いるテラスから、1.5mほど下の釜に飛び込み、泳いで滝の左にとりつく。同じようにあぶみを2本かけ、落ち口に抜けた。ひとつ目の滝ほど、見た目のインパクトはないが、抜け口の微妙さはこっちのほうが上だった。

小滝を一つ越えて、廊下は右に曲がり、その先は細長い淵の先をやはり3mほどの滝がふさいでいる。

20070916F3.jpg
ざっと観察した感じ、踏み跡があり左岸から巻くルートがあるようだ。直登ルートでは滝の左に斜めにかかる倒木に目が行く。しかし最後の部分が悪そうである。よくみると、右から最も水線際を狙うルートのほうが、可能性がありそうだ。ハマチャンがトライ。這い上がりの部分が結構難しそうだが何とか這い上がる。が、抜け口の部分でかなり躊躇している。最後は、全身突っ張りステミングで水流の上を越すというアクロバティックなムーブで見事に登りきった。セカンド以降は、このムーブは逆に危険なので(落ちると水流でルアー状態に)水線右にカムで一つ手掛かりを作ってもらって、ずっと水線右を登ることにした。

20070916F4.jpg
少し歩いて、再び小さな釜をもった4m滝だ。その上は、谷が開けている気配で、これが最後の悪場か。
ルートは明らかに、左岸側を小さく巻くのであるが、水線すぐ左が登れそうな感じなので、ハマチャンが取り付いて、あっさりと登りきった。この登りはフリーのみで行けて、トップは怖そうだが、フォローとして行くには楽しい登りであった。上の廊下の突破は、全部ハマチャンがトップで抜けてくれ、その突破力に、すっかりお世話になってしまった。

それにしても、ここ1,2年ほどの間に、50代より上くらいの、昔から沢やアルパインをやっておられるベテラン何人かの方と登る機会があったが、こういった人たちは何か精神力というか、底力が違うなあ、というのが正直な感想だ。
自分だったら、あと1本、ハーケンを埋めたくなる状況で、そのまま登り切ってしまう。もちろん、無謀なのではなくて、確かな自信があるのだろう。

ハマチャンは山行をともにするのは、今回が初めてであったが、同人の仲間だ。今後行ける世界が広がったようで、これからが楽しみである。

さて、距離は短かったが時間はすでに昼前、下山にかかることにする。右手の沢についていた踏み跡らしきものをたどって登り始めた。しかし、これは失敗。間もなく踏み跡はなくなり、ヤブ激斜面、ヤブ痩せ尾根をたどる厳しいルートで、体調不良の僕にとっては最大の核心であった(T_T)
これだけ人気の沢である。絶対にもっと楽な下山ルートがあったはずであろうと思う。

藪こぎ一時間ほどで林道にたどり着いた。アドレナリンが切れたせいか(?)、ここにきてぐっとしんどくなり、林道歩きもふらふら。最後は道にへたり込んで車で近くまで来てもらい、荷物も運んでもらうという状態で、大変迷惑をかけてしまった。

甲川は、深い自然に包まれ、水と戦い、戦略を立ててチームワークで登る、ゴルジュ突破のすべてを楽しめる素晴らしい沢だった。
惜しむらくは、ちょっと残置が多すぎ。これが難易度をだいぶ下げてしまい、ルートファインディングの楽しみも損なってしまっている。今となっては望むべくもないが、残置の全くない甲川というのも登ってみたいものだと思った。
posted by S.A at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 沢登り/クライミング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
甲(木の兄)川は行ってみたいですね。
うちの師匠が行ったときのDVDを見せてもらったことがありますが、野遊び人さんが流された箇所は同じくみんな流されていました(笑)
特にT代ケイちゃんはかなり苦労していました。
体重が軽いからか足を置く前に飛ばされるようでした。
甲川に行く機会があったら残置支点はできるだけ回収しておきますね。
Posted by ふく at 2007年09月29日 20:36
そのレポート(webで公開されているやつ)見ましたよ!参考にさせてもらいました。

残置が無いと、特に上の廊下はぐっと難易度が上がりそうです。
Posted by 野遊び人 at 2007年10月01日 12:37
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