しかし、連休中の天気予報はずっといまいち。事前に、今年は水量多めという情報を得ていたし、増水リスクの高い黒部川に、無理して突っ込むわけにはいかない。
そこで、
・この連休の天気でも行けて増水リスクが小さいこと
・黒部川上の廊下を想定して準備してきたので、同様にゴルジュを持つ泳げる川であること
・このメンバーで満足できる、歯ごたえのあるところであること。
・中に下の廊下、上の廊下という廊下帯を持ち、黒部に行った気分になれる(?)こと。
という理由から、すばらしいゴルジュを持つと噂には聞いていた大山・甲川(きのえがわと読む)を転身先に決定。土日の2日間に日程を短縮して行くことにした。
金曜日の夜に大阪発、神戸からのハマチャンと合流し、米子道を北上。溝口ICで下りて、大山のスキー場群があるところに前泊用のテントを張る。しかし、これがテントが飛ぶかと思うほどの強風で、安眠できない夜を過ごした。翌朝も風は同じくらい強かったが、甲川の遡行開始地点の鶯橋のあたりはなぜか凪状態。地形的な風なのかな?
周囲の地形も穏やかで、こんなところにゴルジュの沢があるのだろうか、というような雰囲気であったが、入渓して間もなく、周囲の壁が立ち、下の廊下に突入する。

初めの滝は、高さこそないが水流がきつそうだ。ハマチャンがロープを引っ張って力技で突破し後続はロープにひかれて楽々突破。が、しかし、ここでカメラポーチの口をあけたまま不用心に流れの中をひかれていたら…見事カメラのストラップがぶっちぎれて哀れカメラは滝つぼの底へ(T_T)
とても回収は無理そうなので泣く泣くあきらめる。
これ読んで、後日滝壺をサルベージしてくれた剛毅な方がいれば連絡ください。お礼は(たぶん)はずみます
(これもあって、今回のブログでは、のーきょーさん、ごましおさん撮影の画像を使用させてもらっている)

その上は、3連の釜をもった滝が続く。一発目は堰堤かと見まがうほどの形の整った2m滝。水流左のスラブを、のーきょーさんのショルダーで突破。いつも踏み台にしてすみませんm(_ _)m

続いて、2条の1.5mほどの滝。滝上で荷揚げとビレイをしていた記憶があるので、多分トップで行ったんだろうけど、何かあまり覚えてない。右手の太いほうの水流の際が容易に登れたんだったかな。
3発目は、水流左を簡単に登れて、一息。
少し進むと、左手から見事な30mほどの滝が本流に落ち、その先がぐっと狭まった長い廊下状になっていて、どん詰まりのところに滝が見える。高さは低いがなかなか難しそうだ。

ここも、ハマチャンがトップでトライ。滝身左のチョックストーン沿いに活路を見出そうといろいろ試しているが難しいようだ。最後は、のーきょーさんがヘルプに行ってショルダーで越える。後続は引き上げてもらった。
しばらくは、小滝と淵が続く。この沢は、かなり水面際の岩まで苔むして、あまり関西の沢では見ない雰囲気だ。

やがて、またまた長ーい淵と、その先に4mの斜爆が右から落ちている。このあたりからが下の廊下の核心か。淵の前でしばし悩み中…
淵の中ほど、右手に上陸できる所があり、いったん全員集合。そこからはロープを付けて僕がトライする。
泳ぎはさほど問題なく、斜爆の左岸側のカンテにとりつく。が、ここから先、斜爆の強い流れに足を置いて、右岸側に抜けなくてはならない。
最初のトライは、流れに一歩足を置いた時点では耐えたものの、両足を置いたら水流に負けて吹っ飛ばされ、滝つぼへ。
どうやら、落ちてもなんともなさそうだ。
そこで再度トライ。今度は流れの中に同時に両足は置かぬようにし、側壁で突っ張りながら足を対岸に出して成功。後続と荷物を引き上げた。他のみんなは、ごましおさんが僕と同様吹っ飛ばされてくれたが(笑)、のーきょーさん、ハマチャンは一発で成功。この部分は、荷物を背負ったままのほうがかえって良かったかな?
途切れることなく悪場は続く。次の3m滝の釜は、細く、かなり水流がきつい。残置を見る限り4m斜瀑のビレイ点から、あぶみで直上し、淵の上をトラバースして滝の上に懸垂で下りるように小さく巻くルートを行く人が多いようだ。
しかし、よくみると、滝のすぐ手前左から、取り付けそうに見える。僕らのパーティには、ハマチャンの持ってきた秘密兵器、足ひれがあるのだ。
まあ、足ひれをつけていると、取り付きがちょっと難しいのも事実。そこで、まずは無しでトライ。2度あっさりと押し戻される。これは話にならない。
そこで、足ひれをつけてトライ。今度は何とか水流に負けずに進むことができ、取り付き地点まで泳いでガバをつかみつつ足ひれをはずして這いあがる。これは、足ひれなしでは、相当な泳力がないと厳しいぞ。
一段登って、一歩がどうしてもつるつる出だせなかったので、ハーケンを1本打ち、あぶみを掛けて無事突破した。
その後は悪場はなく、下の廊下はまもなく終了。休憩適地で休んでいると、後続の3人パーティーがすごいスピードで先行していった。装備から考えて、日帰りで抜けるのだろう。泊まり荷物があると、どうしても荷揚げをしないと厳しいところが多いので、あのような軽装速攻スタイルも楽しそうだ。
苔むした日本庭園のようなゴーロの中を進む。それにしても、この沢は植林も、人工物も全く見ない沢だ。周囲に自然林が続くせいか、水の透明感もとても高いように思う。苔むした岩も、人によっては陰気だと思うかもしれないが、僕はすごく生命感溢れて美しいと思う。
が…いささか下の廊下の上のゴーロ歩きは長い。そろそろ飽きてきたころ、前方に連瀑帯が見えてくる。

この中ノ滝連瀑帯は、2m〜4m程度の滝がいくつも連なった後、最後に10m超の大きな滝をかけている。全てフリーで直登可能だ。最後の大滝のみ、左のズルズルの壁から登るのだがいやらしく、ハマチャントップでロープを出して登る。
中ノ滝からしばらく歩くと、ふたたび沢は廊下状になり、中の廊下が始まる。ただ、この廊下は滝場は2つほどで、いずれも高さはなく、淵の水深も浅く、通過は容易であった。
時間もそろそろ15時、中の廊下の上の二股付近で絶好のテン場を見つけて泊まり地とした。
周囲は、ブナ、サワグルミ、フサザクラなどの見事な自然林(たぶん原生林)この時期のキノコにあまりなれていなかったので今回は手を出さなかったが、もう少し遅い季節になれば、キノコ天国になるだろう。
のーきょーシェフの手による豚汁をメインディッシュにした料理が次々と出てくる。生の材料をふんだんに使って、山で食べるとは思えない豪勢な料理であった(←だから荷物が重かったんだって)。ガスコンロももちろん持っていっていたが、ほとんど焚火でまかなえてしまった。
このブログは私と同山岳会のメンバーnatuさんから聞きました。
我々は1日目で上の廊下を突破し、少し進んだ河原で泊まりました。とてもこの日は暖かく快適な夜でした。(当初から1泊2日予定でした)2日目はダラダラと遡行し、途中で間違えて支流に入るなど右往左往し、源頭も左へ進んでしまい1300のコル付近まで詰め上げしまいました。よって下山したのは15時頃でした。笑
それから自転車で車を回収にいきました。そしたらもういらっしゃらなかったので、我々が迷ってる間にどこかでまた追い越されたようだとわかりました。
残置物が多い沢で少し残念でしたねぇ。
僕らのパーティはバタバタしていて、かなりお待たせしてしまって、すみません。
荷物の大きさから、日帰りなのかな、と思ったのですが泊まりでしたか。泊まり装備をあのコンパクトさにまとめるのはお見事ですね。僕らは荷物多すぎで、毎回荷揚げせざるを得なくて大変でした。ビバーク装備から、考え直したほうがよさそうです。(泊まりの沢には、めったに行かないもので。)
それにしても、甲川、なかなか良い沢でした。ただ、確かに残置が多い。上の廊下とか、ハーケン打ちながら登ったらかなり楽しそうなのになあ。
甲、とんでもありません。
お互い楽しめたようでよかったですよね。
natuさんとは夏合宿等、一緒に沢に行ってます。
ただ、平日の休みは私は無理なんですが・・・。
もしまた機会がありましたらご一緒にお願いします!!
まだもう少し沢へ行きます。
雪稜の方は、レベルの高い方が多そうで楽しそうです。
堂倉でご一緒させていただいたTASです。
楽しそうな会話に横から飛び入りさせて下さい^^;
I子さんは土日祝で遊びまくってはりますので、是非、水曜周辺でまたご一緒いたしましょう!
10月はnatuさんがI子さんに攫われて九州へ旅立ってしまい、遊んでくれる方がいないのです(涙)
何卒、よろしくお願いいたします。
PS.先週は単独で鈴ヶ沢に行って参りました。
人生で最高の滑り台が出来ましたが、一人で滑るのやはり若干の寂しさがありました。
そうですね〜また平日休みがたまってきたら、是非遊んでください!
鈴ヶ沢の滑り台やってみましたか!すごい。
確かにあの沢は豪快な滑り台がたくさんありますが、落ち込みの水流が当たる部分がアンダーカットになってそうだったり、浮かんでこれなくなりそうなところもあったので、ライフジャケットしでは僕はトライできませんでした。
しかし、単独では確かにさみしい(笑)
っていうか、8月でも身を切るような水の冷たさだったのに、9月に泳げるTASさんはおかしいです。絶対〜!!
そうそう日記も書いてください(笑)
丁度良い水温というか、むしろクールダウンできて体力回復!って感じでしたよ♪
・・とこれは言い過ぎですが、登れない分、少しくらいは泳げないと皮下に自家製防寒具を着込んでる意味がありません(笑)
雪山へもまた是非ご一緒させて下さいね。
平日休み、期待しております!