この彗星が見つかったのは百武彗星よりずっと前の1995年7月、明るくなったのは1997年3月だった(近日点通過は4月1日)から実に2年近く前に発見されたことになる。このときまだ木星の軌道付近であった。おそらく、人類の観測史上最大級の彗星だろう。
本格的に成長したヘール・ボップ彗星を見たのは、1997年3月9日、岡山の美星町であった。なんと、彗星本体が登ってくるよりも先に尾が地平線から見え始め、その明るさといえば、サーチライトか何かが空を照らしているのかな、と最初思ったくらいであった。
尾の長さこそ、前年の百武彗星にはまったく及ばなかったが、この彗星はとにかく明るく、そして僕のイメージの中にあった「大彗星」そのものの姿をしていた。太く明るいダストテイルと、すっと伸びたイオンテイル。美しさ、という点ではやはりヘール・ボップ彗星の勝ちだったと思う。
このときから1ヶ月ほど、晴れて月が邪魔でなければほぼ毎日遠征して彗星を追っかける生活を送ったのであった。たくさん写真も撮ったがその中の一枚。
1997年3月18日 4時43分〜露出5分 Pentax 6×7 & Pentax 100SDUF(400mm F4) フジクロームP1600D 滋賀県・マキノ町にて。(クリックで拡大)
ダストテイル中のシンクロニックバンド(筋状の構造)もくっきり写っている。
この彗星を見て「もうこれ以上のものは、見られないんだろうな…」って思ってしまったことは、その後天文から遠ざかった大きな理由のひとつだったりする。なんとも皮肉な話だけど。

